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蓄電池の火災リスクについて

蓄電池は火災を起こす可能性がある

蓄電池として一般的に活用されているリチウムイオン電池に関しては、経年劣化や衝撃などによって火災は爆発炎上に発展するリスクがあるとされています。

リチウムイオン電池において火災が発生する原因には、まずリチウムイオン電池の劣化によって電池内部に封入されている電解質が酸化し、ガスを発生させることが重要です。

このガスは引火性の気体であり、何かしらの原因によって衝撃が与えられたり極めて高温の環境に陥ったりすると、発煙・発火を生じて火災や爆発につながることがポイントです。

火災リスクと対策

リチウムイオン電池のような蓄電池において、火災リスクを高める要因として劣化や衝撃、高温といった様々な条件が存在していることは見逃せません。

古い蓄電池を使い続けての経年劣化

例えば、古いリチウムイオン電池を使い続けていると、経年劣化によって電解質の酸化が進み、ガスが発生しやすい状態になっていきます。

そのため、蓄電池を安全に活用していくためには、あらかじめ規定されている耐用年数や使用可能期間をきちんと守り、古い蓄電池や劣化した蓄電池は使用しないよう徹底しなければなりません。

転倒や落下による衝撃及び破壊に伴う火災

太陽光発電設備や蓄電池設備を支えている架台が台風などで倒れたり、設置工事の不備によって設備が落下したりすれば、蓄電池にも衝撃が加えられます。

一見すると外観に問題がないような場合でも、内部には亀裂などが生じている可能性があり、衝撃が与えられた蓄電池は直ちに撤去・交換することが大切です。

火災の延焼によって引き起こされる二次火災

住宅火災などによって蓄電池に炎が燃え移れば、二次火災としてリチウムイオン電池が発火し、さらに被害を拡大する恐れがあります。そのため住宅火災に対する予防対策も重要です。

実際の事故事例

パワーコンディショナーまたは接続箱から事故が発生した事例

平成29年9月に消費者安全調査委員会が発表した、住宅用太陽光発電システムや附属設備に関する事故などの原因調査経過報告によれば、平成20年3月から平成28年8月までの間に合計で102件の事故情報が登録されていました。また、その中でもパワーコンディショナー及び接続ボックスから火災事故に発展したケースが41件と最大になっており、変電回路に伴った自動運転のリスクが懸念されています。

太陽電池モジュールまたは配線から事故が発生した事例

消費者安全調査委員会の事故原因調査の経過報告書によれば、太陽電池モジュールや配線設備から発生した火災事故の事例も102件中8件となっていることが報告されました。

特に太陽光電池モジュールの火災事故については、屋根に設置されているモジュールから発火したことで屋根にも延焼している事例も報告されています。このため、住民の安全に関してリスクが存在していると再認識することは重要です。

無停電設備としての蓄電池設備の火災事例(広島市)

広島市にある情報産業建物(耐火4階建て)において、停電時にもコンピュータを保護して情報の喪失を回避する対策として、蓄電池を活用した無停電設備が導入されていました。しかし建物4階に設置されていた蓄電池設備から火災が発生し、蓄電池が焼損された事例が報告されています。なお本事例においては、室内全体にはススが付着しているものの焼損は発生していませんでした。

蓄電池の火災に関する法律

消防法及び対象火気省令

消防法において蓄電池に関する規制には以下のようなものが規定されています。

ただし規制対象は「4,800Ah以上」の容量の蓄電池であり、上記は開放型鉛蓄電池を想定された規制であることも重要です。そのため総務省消防庁ではリチウムイオン電池の普及などに合わせて令和4年度に規定の改正方針も発表しています。

火災予防条例(市町村)

消防法や対象火気省令にもとづいて、各市町村では自治体条例として以下のような火災予防条例を定めています。

火災予防条例は蓄電池設備の設置に関する、具体的な規制内容になっていることがポイントです。

規制事項を守って設置しよう

蓄電池には様々なメリットがある一方で、経年劣化や衝撃などによって火災リスクが増大することも事実です。そのため、蓄電池を設置する場合は消防法や各種省令・条例にもとづいて適切な設置や運用管理が欠かせません。

また、規制対象にならない規模の蓄電池であっても、同様に安全管理を徹底する意識が重要であり、製品や設置業者の比較検討時には詳細を確認するようにしてください。

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