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一般に蓄電池は自家消費用として使用しますが、売電用として使うことができないわけではありません(ただし売電単価が下がる可能性あり)。もし蓄電池を経由して売電した場合には「収入」が発生することから、この「収入」に応じた各種税金を納める必要があります。課税される可能性がある税金は、固定資産税、所得税、住民税の3種類です。
太陽光発電システムを目的別で分けた場合、大きく「産業用」と「住宅用」の2つがあります。「産業用」とは、売電を通じて収益を得ることが目的の太陽光発電システムのこと。「住宅用」とは、自家消費を目的とした太陽光発電システムのことです。
これらのうち「産業用」の太陽光発電システムと認められた場合、固定資産税が課税されると思っておきましょう。
現実的には、太陽光発電システムを「産業用」と「住宅用」で明確に線引きすることは困難。なぜならば、発電した電気の一部を売電して残りを自家消費するなど、一つの太陽光発電システムの中で目的が混在していることがあるからです。
そこで形式的に、出力10kW以上を「産業用」、出力10kW未満を「住宅用」とする基準を設置。電気の使用目的が何であろうとも、この基準で「産業用」に認定された場合には、原則として固定資産税が課税されることになりました。
ただし上記の基準は、あくまでも形式的なもの。仮に出力10kW未満であっても、この電気を自宅兼店舗や賃貸アパートなどに利用していたりなど、実質的に「産業用」の場合には「産業用」と認定されて固定資産税が課税されます。
また、後付けタイプの太陽光発電システムの場合には固定資産税の課税対象にはなりませんが、初めから住宅に太陽光発電システムが付帯している場合には固定資産税の課税対象になるなど、設置形態によって課税・非課税の違いがあることも理解しておいてください。
太陽光発電システムによる売電で収入を得た場合、その収入は一定の基準により、「雑所得」「事業所得」「不動産所得」のいずれかに分類され、原則として所得税の課税対象となります。それぞれに違いを見てみましょう。
住宅用の太陽光発電システムで作られた電気について、電力会社に余剰分を買い取ってもらった場合には「雑所得」として扱われます。
原則として「雑所得」は所得税の課税対象ですが、売電による所得(収入から経費を差し引いた額)が20万円未満であれば非課税となるため、確定申告の必要はありません。
事業目的で売電を行っている場合や容量50kW以上の太陽光発電設備を設定して売電を行っている場合には、「事業所得」として扱われます。事業所兼自宅に設置している場合でも「事業所得」です。
原則として「事業所得」は所得税の課税対象ですが、売電による所得(収入から経費を差し引いた額)が38万円未満であれば、基礎控除と相殺されて非課税となるため、確定申告の必要はありません。
①自分がオーナーを務める賃貸住宅の屋根に太陽光発でシステムを設置し、
②この電力を賃貸住宅の共用部分に使用し、
③余剰分を売電
した場合、この売電から得られた所得は「不動産所得」に分類されます。 共用部分に使用する電力は賃貸住宅運営のための必要経費とみなされるため、これとの整合性を取るために売電分は「不動産所得」とされるようです。
住民税は、前年の所得に対して課税されます。そのため、売電によって「雑所得」「事業所得」「不動産所得」などの所得があった場合には、その翌年、所得に応じた住民税が課税されます。
太陽光発電システムの固定資産税について、国による「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」が設けられています。簡単に言えば、太陽光発電システムにおける固定資産税の減税措置のことです。内容を詳しくみてみましょう。
■減税措置の目的と背景
低炭素社会の推進、エネルギー関連産業の雇用創出などを目的に、平成24年から実施されている固定資産税の減税措置です。
■対象となる設備
平成29年度までに取得した太陽光発電設備で、なおかつ、「再生可能エネルギー事業者事業費補助金」(一般財団法人環境共創イニシアチブ)を受けている設備が減税の対象となります。
なお「再生可能エネルギー事業者事業費補助金」は、自家消費を目的にした10kW以上の太陽光発電設備が受給の対象となっています。
■減税の内容
3年分の固定資産税について、設備の課税標準額が2/3に減税されます。
蓄電池を経由して売電収入を得るのであれば、税金の負担は少しでも抑えたいものです。売電収入を得ながら節税を目指すのであれば、制度をうまく活用しましょう。売電をするときに知っておきたい、節税対策につながる制度や方法について紹介します。
太陽光発電の設置にかかった費用は、法人・個人を問わずに減価償却費として経費に計上できます。太陽光発電の法定耐用年数は17年なので、17年間に分けて設置費用を経費として配分していくというわけです。設置後の修理費用や必要経費も、経費に含めることが可能。売電収入から減価償却費を差し引くことで課税所得金額を抑えられ、所得税の節税を叶えられます。
ただし、基本的に減価償却を行えるのは事業用設備がメインで、住宅用設備は、新築時に屋根一体型の太陽光パネルを採用し住宅の資産価値へ上乗せ、住宅兼事業所に設置するといったケースなどが当てはまります。
事業として開業するというハードルの高さや申請手続きの手間などはありますが、個人事業主になると青色申告ができるようになります。青色申告で事業所得または不動産所得として申請できれば、売電収入から減価償却費を差し引いた後、最大65万円の青色申告特別控除を受けることが可能。個人で確定申告するよりも課税所得金額を抑えられ、高い節税効果を期待できます。
消費税還付とは、課税仕入れで支払った消費税額が課税売上で預かった消費税額を上回った場合に、差額分を還付してもらえる制度です。太陽光発電でいうと、太陽光発電関連で支払った消費税額が売電収入で預かった消費税額を上回った時に、消費税還付を受けることができます。
ただし、消費税還付を受けられるのは課税事業者のみです。免税事業者でも、条件を満たして届出を提出すれば課税事業者になることができます。ただし、いったん課税事業者になると免税事業者にはすぐに戻れないなどのデメリットもあるので、慎重に検討しましょう。
九州にある蓄電池設置業者の中から、余計な中間マージンが発生せずアフターメンテナンスなども迅速な「自社施工」で、且つ太陽光発電に関することならなんでも知っている「太陽光発電専門」の業者を、創業年数の長い順に3社紹介します。(2021年2月時点)