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電気を蓄え、繰り返して使うことのできる電池を蓄電池と呼びます。
近年では太陽光発電した電気を貯めておくために利用している方も多いのではないでしょうか。
そんな家庭用蓄電池について、使用できる寿命と長持ちさせる方法を解説します。
家庭用蓄電池の場合、寿命は大まかに10~15年と考えられますが、電池の種類や利用環境によって異なります。
蓄電池の寿命は「サイクル数」もしくは「使用期間」のいずれかで表されます。使用期間とはその蓄電池を使用することができる期間を指し、サイクル数とは充電から放電までを1サイクルとして、これを何回繰り返すことができるかという単位です。
なお、蓄電池が寿命に達した場合はまったく使えなくなるのかというと、そういうわけではありません。寿命となった蓄電池は蓄電容量が70%(メーカーによっては90%)ほどまで低下しますが、使用することはできます。
家庭用の蓄電池として現在主に用いられているものには「リチウムイオン電池」「ニッケル水素電池」「鉛蓄電池」「NAS蓄電池」の4種類があります。
それぞれの特徴と寿命を見ていきましょう。
リチウムイオン電池の寿命は10年(4000サイクル)ほどです。正極と負極の間をリチウムイオンが移動することによって充電や放電が起こるリチウムイオン電池は、現代において、家庭用蓄電池の主流となっています。
小型・軽量でありながら生み出すエネルギーは大きいため用途は幅広く、ノートパソコンやスマートフォンなど、身近な製品にも多く用いられます。保管状態や充放電の方法によっては寿命が著しく低下する可能性があり、適切な使用が必要です。
ニッケル水素電池の寿命は5~7年(2000サイクル)ほどです。ニッケル水素電池は、正極にニッケル酸化化合物、負極に水素を含んだ水素吸蔵合金または水素化合物を用いて作られます。
小型で安全性が高いことから、リチウムイオン電池が普及するまで、モバイル機器のバッテリーとして広く利用されていました。
現在では乾電池や、ハイブリッドカーのバッテリーや鉄道の電源などとして用いられています。蓄電池の中ではもっとも寿命が短く、また高温下での使用などの外的要因によって、さらに寿命が低下するケースがあります。
鉛蓄電池の寿命は17年(3150サイクル)ほどとなり、他の蓄電池と比べ長寿命です。名前の通り、電極に鉛を用いて作られる鉛蓄電池は、蓄電池の中でもっとも古くから利用されてきました。
大型で重いためモバイル機器などには用いられませんが、コストパフォーマンスの良さと安全性の高さから、自動車のバッテリーや非常用バックアップ電源として重宝されています。
NAS蓄電池の寿命は15年(4500サイクル)ほどです。日本ガイシ株式会社が東京電力と共同で開発したNAS蓄電池は、正極に硫黄、負極にナトリウムを利用した、高温作動型の蓄電池です。
蓄電容量が大きく、工場などの大規模施設におけるバックアップ電源として用いられています。低コスト・長寿命なNAS蓄電池ですが、一方で、素材となるナトリウムや硫黄が危険物指定されている上に作動するためには温度を300度以上に維持する必要があることから、安全面の確保が課題となっています。
蓄電池は、保管・使用方法によって寿命を低下させてしまうこともありますが、逆に寿命を延ばすことも可能です。
蓄電池をなるべく長期間作動させるために気を付けたいポイントをご紹介します 。
蓄電池は高温に弱く、25℃を超える環境での使用を続けると、急速に寿命が低下します。中でもリチウムイオン電池は、高温下で充放電を行うと大幅に劣化が早まるので注意が必要です。
蓄電池を保管する際には、直射日光や高温多湿の環境を避け25℃を超えない風通しの良い所、特に屋外に設置する場合には、雨や砂ぼこりなども当たりにくい場所を選ぶのがおすすめです。
充電100%の状態でさらに充電をし続ける「過充電」や、逆に充電が0%の状態で長期間放置する「過放電」は、蓄電池の劣化を早める原因となり、それだけでなく発火などの危険につながる可能性もあります。
蓄電池には、100%になると自動的に充電を止める機能が付いていますが、やはり念のため、満充電や充電がカラとなったまま放置しない方が良いでしょう。
蓄電池は充電を繰り返すことで劣化が進んでいくので、なるべく1日1サイクル以内で使用することが寿命を延ばすことにつながります。そのためには、購入する際に適切な蓄電池を選ぶことが大切です。
考え方としては、まずご家庭で使用している電化製品の消費電力と使用時間を調べ、蓄電池でまかないたい容量を割り出します。
実際に購入する商品は、1日の電気使用量より少し大きめの容量のものを選ぶと良いでしょう。1日1サイクル以内という最小限の充放電で使用することができ、蓄電池の寿命を延ばすことにつながるのです。
どのようなタイプ、どれくらいの容量の蓄電池が最適かは、ご家庭のライフスタイルによって大きく異なります。
一般的に、蓄電池は購入してから寿命まで同じものを同じ場所で使うことになるので、あらかじめよく検討してから購入しましょう。
家庭用蓄電池には屋内設置型と屋内設置型があり、その違いは蓄電池の容量です。
蓄電池は容量が大きいものほど物理的にも大きく重くなるため、多くの場合は屋外設置用とされていますが、メーカーによっては屋内外のどちらにでも設置のできる蓄電池も販売しています。
屋内設置の場合は、家具や家電のような設置イメージとなります。直射日光の当たる場所、高温多湿となる場所を避けて設置することになりますが、同時に、生活空間への圧迫感や運転音もしっかりとチェックしたいところです。
また、蓄電池は大型のものでは100kgを超えることも珍しくないため、設置場所の床材が重量に耐えられるかについても確認が必要です。
塩害地域や寒冷・積雪地域では基本的に屋外設置に向かないため、希望する場合には一度お店で相談してみることをおすすめします。
蓄電池の容量は「kWh」(キロワットアワー)という単位で表され、この数字が大きい=容量が大きいほど、蓄電池の重量は重く価格は高くなります。
現在、家庭用蓄電池は6〜10kWhのものが主流ですが、容量を選ぶときには蓄電池の使用目的やライフスタイルを踏まえて検討しましょう。
例えば、災害などの停電時に備えての設置であれば、太陽光発電と併用するのか否かが1つのポイントです。
太陽光発電がある場合には、蓄電池には夜間分の電力のみを貯めれば良いことになりますが、ない場合には電気が復旧するまでのすべての電力をまかなわなければならないため、大きめの容量を選んだ方が安心です。
また、お住まいがオール電化住宅であれば、そうでない住宅に比べて使用電力は当然多くなります。
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