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これからの太陽光発電システムの導入には欠かせないとされる「家庭用蓄電池」。その導入にかかる価格の相場を調査してみました。
太陽光発電でつくった電力を蓄えて、自宅で使うことができる家庭用蓄電池。自宅の光熱費を減らし、環境にやさしいエネルギーを使うためには欠かせないものとなっています。
発電した電力の買取り価格が下がったことで、これからは自宅でつくった電力は自宅で使うことが常識になっていきます。そのための蓄電池は、以前に比べると導入費用の相場は下がってきているようです。
太陽光発電をこれから設置される場合には、マストとも言える蓄電池。既に太陽光発電を設置していて、「蓄電池に興味はあるけど、費用がかかりすぎて…」というイメージがある方も、いまの価格相場をチェックして改めて導入を検討してみてはいかがでしょうか。
蓄電池の価格は、スペック別に分類すると以下のような価格分布になっています。
これに加えて、設置費用は20~30万円を見込んでおくとよいでしょう。蓄電池を導入するケースの中で、100~180万円あたりを選ぶ方が多いようです。
あくまでこれは標準の価格帯の話で、低価格帯のモデルも最近は充実しています。予算や必要なスペックを超えたものを導入するのではなく、用途やニーズに合わせたモデルを選ぶことが大切です。
スペック・価格帯別に分類すると上述のようになりますが、蓄電池の容量で相場を考えると以下のような範囲に分布しています。
なお、1kWhあたりの価格で考えると約15〜28万円くらいが相場と言えるでしょう(本体価格・工事費込み)。
蓄電池の導入費用は、以前に比べるとかなりこなれてきました。とはいえ、高額の買い物であることに変わりはありません。できるだけ安く導入するにはどうしたらいいのでしょうか?
大切なことは、蓄電池の容量がどれくらい必要なのかチェックすること。停電時に24時間家電をフルに動かし続けるなら、12kWhは必要です。12〜18時間の稼働に抑えるなら、7kWhのモデルでも十分です。
もちろん容量が大きいに越したことはないのですが、普段の太陽光発電の有効活用という意味では、容量がむやみに大きいモデルを選ぶ必要はありません。予算と相談しながら、必要な容量を満たすものを選ぶことで、設置費用を抑えることができます。
ここまで、蓄電池の導入費用や本体価格をまとめてきました。これはあくまで初期費用であって、ランニングコストについても考慮が必要です。蓄電池には寿命があって、10年ほどで容量は70%まで低下するとされています。電池の種類によって寿命に差があり、またメーカーごとにメンテナンスの充実度も違います。初期費用ももちろん大切ですが、ランニングコストも含めて長い目で費用のことを考えることをおすすめします。
減価償却とは、固定資産の購入金額を数年に分けて経費に計上する会計手続きです。蓄電池は固定資産として扱われるため、購入費と工事費をまとめて減価償却できます。ただし、減価償却が必要となるのは、あくまで収入に対する経費として蓄電池を取り扱う場合です。そのため、家庭用として導入した蓄電池であれば、減価償却はできません。
例外として、個人の利用として家庭用蓄電池を導入した場合であっても、太陽光発電システムとの併用で売電収入が年間20万円を超える場合は、減価償却の対象になります。言い換えれば、売電収入が年間20万円以下であれば、減価償却を考えなくてもいいというわけです。
売電収入から経費を差し引いた売電所得が1年間で20万円を超過する場合は、所得税がかかります。太陽光発電や蓄電池を減価償却した費用を経費に計上することで、節税することが可能です。
ただし、家庭用蓄電池の場合、購入金額をすべて経費として計上できるわけではありません。なぜなら家庭用としても使われているため、経費として計上するには売電に使用している時間の割合を算出し、経費として扱える金額を求める必要があります。
また、売電所得が20万円以下であっても、売電以外の副業で得た利益と合わせて20万円を超過する場合は、確定申告が必要です。
売電で得られる所得は、「雑所得」「事業所得」「不動産所得」のいずれかに該当します。個人の売電は事業として行っているわけではないため、税制上の分類は「雑所得」です。ただ、設置容量が50kW以上など一定の条件に該当する場合は、事業所得として見なされることもあります。
また、経営する賃貸住宅の屋根に太陽光発電システムを設置し、賃貸住宅の共用スペースなどで使った後に余った電気を売電した場合は、不動産所得として扱われる場合もあります。
蓄電池の減価償却の計算方法には、「定額法」と「定率法」の2つがあります。
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として経費の計上する方法です。定額法には「購入費用を耐用年数で割る方法」と「定額法の償却率をかけて算出する方法」があります。
たとえば工事費込み120万円の蓄電池の場合、それぞれの方法で算出した減価償却費は以下の通りです。
【購入費用を耐用年数(6年)で割る方法】
【定額法の償却率(0.167)をかけて算出する方法】
定率法は、購入した年の減価償却費を多く計上して、2年目以降の減価償却費は年々少なく計上する方法です。定率法では、まず1年目は購入費に定率法の償却率をかけた金額を減価償却費として計上。2年目以降は購入費からすでに減価償却した額を差し引き、その額に定率法の償却率をかけた金額が減価償却費として計上されます。
定率法の償却率は0.333のため、120万円の蓄電池の減価償却費(6年間)は以下の通りです。
ただし、定率法の場合、減価償却費が償却保証額(購入費×保証率)を下回った以降は、定率法の償却率ではなく改定償却率(0.334)が使用されます。蓄電池の保証率は0.09911で、120万円の蓄電池の償却保証額は、120万円×0.09911=11.8932万円になります。
4年目の減価償却費を通常通りに計算すると11.85万円と償却保証額を下回るため、計算する際は3年目までの購入費から減価償却した額を差し引いた約35.60万円に改定償却率0.334をかけます。そこで算出された約11.89万円が、4年~6年目までの減価償却費になります。
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