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2022年実施の蓄電池産業戦略について解説

EV市場の拡大に伴って車載用蓄電池市場も急速に拡大しており、定置用蓄電池市場も2050年のカーボンニュートラル実現に向けて成長する見込みとなっています。世界的な市場規模の拡大を見せている蓄電池産業において、日本の競争力の維持・強化を目指すために発表されたのが「蓄電池産業戦略」です。ここでは、経済産業省が発表した蓄電池産業戦略について策定された背景や概要、目標設定などを解説します。

蓄電池産業戦略とは

蓄電池産業戦略は、蓄電池産業界における日本の競争力を再度取り戻すべく2022年8月31日に策定・公表された方策です。蓄電池産業戦略を策定するにあたって2021年11月に経済産業省が「蓄電池産業戦略検討官民協議会」を設置し、これまでに電池メーカー、部材メーカー、自動車業界関係者、政府関係者などによる計6回の有識者会合が実施されています。

なぜ推進されているか

日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言しており、カーボンニュートラル実現に向けて注目されているのが蓄電池です。蓄電池は自動車の電動化や再エネの主力電源化に不可欠な最重要技術の1つで、さらにデジタル社会においても国民生活や経済活動を支えている重要物質となっています。

日本だけでなく諸外国においても、蓄電池のサプライチェーン確立のための政策の強化が行なわれているほか、産業界でもバリューチェーン構築に向けた投資が激化。こうした諸外国の蓄電池産業へのスピード感と投資力に対して日本は出遅れているのが現状で、グローバル市場において国際競争力を維持するための蓄電池の製造力の強化が求められています。

策定された背景

蓄電池業界が競争力を取り戻すための方策として検討

かつての日系企業は高い技術力を武器に、車載用リチウムイオン電池において世界シェアの半数(約51%)を占めていました。けれど、液系LiB(リチウムイオン電池)への大規模投資で勢いを増した中国・韓国メーカーに抜かれ、2020年の日系企業の世界シェアは約21%にまで低下。定置用リチウムイオン電池においても、2016年の27%から約5%にまで低下し、国際競争力の著しい低下が目立っています。

また、欧米や中国・韓国では政府が蓄電池に対する大規模な政策支援を実施しており、補助金や税制措置などで生産能力を向上。これまで日本が優位だった技術力や品質に対しても、中国が猛追を見せています。このままでは日本の蓄電池産業はグローバル市場で生き残れずに衰退する危険があることから、かつての競争力を取り戻すべく蓄電池産業戦略が策定されることとなりました。

日本の蓄電池産業における課題

蓄電池産業は最上流の鉱物資源の確保から電池材料・電池セル・電池パック製造といったサプライチェーンで構成されており、それぞれで求められる競争力が異なります。

蓄電池の原材料となるバッテリーメタル(リチウム・ニッケル・コバルト)の多くは埋蔵量・生産量ともに特定の国に偏在し、海外からの輸入に依存せざるを得ないのが現状です。世界各国の蓄電池メーカーや自動車メーカーがバッテリーメタルの権益獲得や大規模投資を進めており、国内においても蓄電池のサプライチェーンをどう構築するかが課題になっています。

また、安全性などで日系企業が優位だった電池材料や電池セルについても中国企業がコスト面・品質面で追い上げを見せていることから、日系電池メーカーまでもが中国材料に依存する可能性もあり。国内におけるリチウムイオン電池の製造能力を向上させるために、政府は資源会社への支援や資源保有国との連携強化を行ない、サプライチェーンの構築や鉱山権益の確保を目指すとしています。

蓄電池産業戦略の概要

日本のこれまでの蓄電池産業政策はというと、次世代蓄電池として期待されている全個体電池を維持・拡大することが基本戦略となっており、全個体電池の技術開発に集中投資が行なわれていました。

一方で、政府の強力な後押しを受けた中国・韓国企業が液系LiB(液系リチウムイオン電池)の製造基盤を強化し、これまで日本優位だった世界シェアが逆転。日本が力を入れていた全個体電池についても寿命が短い点や量産化技術の確立といった解決すべき課題が残っており、今後もしばらくは液系LiB市場が続く見込みとされています。

日本の産業界が国内志向だったこともあってグローバル市場の成長を十分に取り込めておらず、国際競争力が低下。世界的に投資競争が激化しているなか、このままでは全個体電池が実用化する前に日本企業が疲弊し、市場から撤退する可能性も出てきています。

そうなると車載用だけでなく定置用蓄電池まで海外に依存せざるを得ない流れになるため、日本政府はこれまでの戦略を見直すために蓄電池産業戦略を策定。今後の方向性として、「液系LiBの製造基盤の確立」「グローバルプレゼンスの確保」「次世代電池市場の獲得」の3つを掲げています。それぞれの目標について詳しく見ていきましょう。

蓄電池産業戦略における目標

液系LiBの製造基盤の確立

蓄電池の輸出や定着用蓄電池向けに必要な製造能力を確保するために、遅くとも2030年までに蓄電池・材料の国内製造基盤150GWh/年の確立を目標としています。また、令和3年6月に決定したグリーン成長戦略においても、「国内の自動車製造の安定的な基盤を確保すべく、2030年までのできるだけ早期に国内の車載用蓄電池の製造能力の100GWhまで高める」といった目標を策定。

政府は上流資源の確保を含め、液系LiBの製造基盤を強化するための大規模投資への支援を行ない、国内の製造基盤の確立を目指すとのこと。電池サプライチェーン協議会によれば、2030年までに150GWh/年の国内製造基盤を確立するには3.4兆円もの官民での投資額が必要と考えられています。

グローバルプレゼンスの確保

これまでグローバル市場の成長を十分に取り込めていなかったことから、今後の方向性として国内で確立した技術をベースとした海外展開を戦略的に行ない、中国や韓国に押され気味となっている日本の存在感や影響力を確保するのが目標。

蓄電池の製造に不可欠な上流資源のグローバル資源での購買力や、標準化・国際的なルール形成での影響力を確保すべく、2030年に日本企業全体でのグローバル市場における蓄電池の製造能力を600GWh/年確保するのを目指しています。また、この目標では、2030年のグローバル市場が3000GWh/年まで拡大した場合も、シェア20%を確保する試算です。

次世代電池市場の獲得

全個体電池などの次世代電池の技術開発を加速させ、世界に先駆けて実用化することで日本の製造技術の優位性・不可欠性を確保し、次世代電池市場を着実に獲得するのが目標。そのためにも、産学官の研究開発力を結集させ、2030年頃に全個体電池の本格実用化、2030年以降も日本が技術リーダーの地位を維持・確保することを目指しています。

これらの目標に加え、2030年での国内での製造能力150GWh、グローバル市場における製造能力600GWhを目指すための人材育成をはじめ、国内需要拡大の環境整備、リユース・リサイクル、再エネ電源による電力供給の拡大およびコスト負担の抑制といった環境整備も進めていくとしています。

今後の取組

蓄電池産業戦略では、「技術・ビジネス」「市場創出」「環境整備」の3つの領域からさまざまな取組が講じられています。今後はこれらの取組を盛り込んだロードマップにより、国内の蓄電池産業の競争力強化を目指すことになります。

技術・ビジネス

市場創出

環境整備

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